AVRILモナコ 3 - 1 レアル・マドリー(4/6 チャンピオンズリーグ準々決勝) モナコの先発メンバーでちょっと驚いたのはボランチがシセとプレジールの控え2人だったことだ。勉強不足のためレギュ ラー2人が出場停止なのか怪我なのかが分からなかったが、個人的には控えの2人の方が好きなのでどんなプレーを するか楽しみだった。対するレアルはベッカムが出場停止以外はほぼベストと言っていい布陣。ホームで2点差なので、 モナコがどの時間帯に先制点を取るかが勝負の鍵だと思っていた。 この試合は最初から観戦、フランス語教室のない火曜日の試合は久しぶりである。てっきりモナコが最初から飛ばして くるかと思ったが、静かな立ち上がりで逆にレアルに押されていた。あれっと思っているとロナウドのドリブルからのパスをグ ティがスルーしてラウルが先制。ラウルはあの形からのシュートは100%に近い確率で決めるイメージがある。これでトー タルスコアで3点差、さすがにモナコもダメかと思ってしまった。こうなるとモナコは攻めるしかないのだが、イマイチ切れが感 じられない。それでも徐々にエンジンがかかってきたか、ジュリーがいい突破を見せるようになってきた。前半終了間際に 左サイドからのクロスをモリエンテスが頭で落とし、ジュリーがダイレクトシュート。DFにわずかに当たったのが幸いしてゴー ル。すでにロスタイムに入っていたので、時間帯としては最高だった。次の1点をモナコが早く取れれば流れ的には分から なくなってくる。その通りに後半開始8分ぐらいで、またもモリエンテス、1対1に競り勝ってゴール。DFはきっちりついていた のに完全に体を入れられて先に飛ばれてしまっていた。エルゲラが怒るのがよく分かるゴールだった。こうなると完全にモナ コペース。ちょっと前までのレアルであれば、マケレレのようなそういう流れを切れる選手がいたのだが、今はそういう選手 がいないためか流れを切ることが出来ない。そしてイバラのシュート性のパス?にジュリーがヒールで合わせて3点目。こ れでトータルスコア同点ながら、アウェーゴール差でモナコが上に立ってしまった。しかしまだ時間があったので、レアルの 猛攻が予想されたのだが、攻撃の形を作れない。こういうもろいレアルの姿を見たのは初めてかもしれなかった。 試合はそのまま終了でモナコがまさかの準決勝進出。この試合のMVPはジュリーだと思うが、陰のMVPとしてロタンを挙 げたい。豊富な運動量で攻守にわたって活躍、特に守りでは対峙するフィーゴ、ジダンに仕事をさせていなかった。初め てロタンを見たときはあまり評価していなかったが、見るたびに評価が上がる選手である。もう少し中に入るプレーがあっ てもいいかと思うがそうすると彼の良さがなくなってしまうか?またボランチの2人もいい仕事をしていた。攻守にバランスの とれたレベルの高いボランチが4人いるのもモナコの強みであろう。後でネットでチェックした記事によると、前半押さえて 入ったのはデシャンの作戦だったとのこと。1点取られたのは予定外だったろうが、結果的にはその作戦が当たったように 思う。レアルは1点取ったのと、モナコの動きがよくなかったことから、前半から勝ちを確信したような表情が見えたからだ。 一度、気持ちを切ると戻すのがなかなか難しいと思うが、それを考慮したとしても後半のレアルの出来はひどかった。個 人的にはベッカムがいればどうだったろうかと思う。技術的なことでなく精神面でだ。ベッカムは結構熱いプレーが出来る 選手である。この試合で熱いプレーを見せてくれていたのは攻撃陣ではラウルだけだった。今までラウルのそういうプレー を見た記憶がなかったのでちょっと驚いた。試合後も一人だけモナコの選手一人一人と健闘をたたえ合っていた。ちょっと ラウルを見直してしまった、基本的に男気のある選手が好きな殿である。 リヨンはだめだったが、モナコは準決勝進出。この勢いだと決勝もあるかなという気がする。いい時にフランスに来たもんだ。 フェイエノールト 1 - 1 アヤックス (4/11 エール・ディビジ) 日本人プレーヤー巡り第3弾にしておそらく最後の小野を見に、オランダへ。オランダでは基本的に外国人はチケットが 買えないということなので、ネットで予約することにした。だめもとでアヤックス戦をお願いしたら予想に反して、取れてしま った。何でもやるだけやってみるものである。小野のプレーはW杯以来ほとんど見ておらず、またW杯も本調子にほど遠 いものだったので、アヤックス相手に現在の小野がどういうプレーを見せてくれるかが非常に楽しみであった。 小野は左のボランチで先発。ポジション的にはオランダの若き10番、ファン・デル・ファールトとマッチアップするところであ る。ファン・デル・ファールトは来期、プレミアやセリエのビッグクラブへの移籍が噂される選手。ポジションは違うがその選 手との比較で現在の小野の力量を測ることにした。 試合前のアップ(中央が小野) 試合前のフェイエサポーター 試合は首位のアヤックスが前半から押し気味、フェイエの中盤にスペースを与えず、マイボールにしたら両サイドにボール を運ぶ相変わらずのワイドな展開。パススピードが速いし、またそのパスの勢いを一発で止めるトラップが見事だった。前 線にイブラヒモビッチがどんと構えて、2列目からファン・デル・ファールトらが飛び出していく攻撃は見ていて楽しく、また参 考にもなった。ただフェイエのDF陣も気合が入っており、いくつか危ない場面はあったが、しっかり押さえていたように思った。 スピーディな展開のためか前半があっという間に終了。後半になるとさすがに体力が落ちてきたか、中盤にスペースが出 来始めた。そんな中、小野がハーフライン付近からワンタッチパス、GKとの1対1を演出した。このパスはコース、強さ、回 転全てが完璧だったがシュートはサイドネットだった。このパスには周りのオランダ人も感心していたようだった。ちょっとフェイ エペースになってきたかと思ったところで、左サイドでファン・デル・ファールトが抜け出し、最後はイブラヒモビッチが押し込み アヤックスが先制。この時のアヤックスのサポーターだけ騒いで、他のスタンドの静まり様は印象的だった。このゴールはファ ン・デル・ファールトがガリのタックルをものともせず抜け出した時点で勝負あり。小野とダブルボランチを組むガリだが、それ ほどいい選手には見えなかった。タックルも確実につぶすべきところで、軽く入ってしまい独走を許してしまった。ホームで宿 敵アヤックスに負けるのだけは避けたいフェイエは残り15分ぐらいから3トップで勝負。残り数分で前線で相手ボールをカッ トし、そこから同点ゴール。最後は3トップにして前線からボールを追い掛け回したのが功を奏した。半ば負けを覚悟して いたスタンドは大盛り上がり。アヤックスサポーターの席に飛ぶゴミの量がすごかった。試合はそのまま終了。フェイエファン もアヤックスファンも双方まあ納得という感じであった。ただフェイエの選手が点を決めたカイト以外は特にファンに挨拶無し で引っ込んだのは違和感が残った。 ほとんど隔離状態のアヤックスサポーター 試合後(一番右のフェイエの選手が小野) 試合としては個人技、組織ともに勝るアヤックスに対し、フェイエノールトが意地と気合で対抗していたように感じた。アヤッ クスは初めて生で見たが、期待通りのサッカーを見せてくれた。うまく表現できないが、システマティックな動きと高いスキル は非常に洗練されていると思った。相変わらずいい選手がおり、何度も出てきたファン・デル・ファールトは動きがダイナミック で技術も高く、体も強いので、プレミアなどでも十分活躍できるのではないかと思う。トップのイブラヒモビッチもちょっと線は 細いが、大きい割にドリブルなどもうまく万能タイプ。他に目立ったのは18番。小柄ながら豊富な運動量でファン・デル・ファ ールトとともに攻撃を組み立てていた。この18番、帰ってきてから名前を調べたらシュナイダー、3月末に見たオランダ-フラ ンスで印象に残った選手もシュナイダー(フランス語読みだとシュナイデルと聞こえた)。恐らく同じ選手であると思われる。 対するフェイエノールトは選手のタレントがちょっと落ちるかなという気がした。途中から出てきたファン・ペルシも大きい割に 動きが鋭いなとは思ったが、時間も少なく特に見せ場がなかったのでよく分からなかった。 さて小野であるが、感想としては想像以上でも以下でもなかったというのが正直なところである。個人的にはいい意味で 想像と違ってほしいと思っていたのだが、残念ながらそれはなかった。試合前のアップなど見ても、ボール扱いは一番うまい し、試合中もオランダ人をうならせるパスも何本か出していたし、後日、オランダの専門誌でベスト11にも選ばれたとのこと。 しかしこれは想像できていたことである。殿的に期待したのは、縦横無尽にピッチを駆け回る小野であった。日本にいる頃 から小野は運動量がイマイチ、つまり消える時間が多いと思っていたので、その部分がどうなったかがとても気にかかってい た。今回はアヤックス相手なので守備的だったのかもしれないが、それにしても上がる回数が少ないと思ったし、一度上が った後に戻るのも遅い。また味方ボールの時にもっと顔を出す動きも欲しいと思った。相手のファン・デル・ファールトと比較 すると運動量の面で大きな差があったように思う。今シーズンは怪我続きのためコンディションが良くないのが原因かもしれ ない。もしそうだとしたら、是非次のオフにはしっかりした準備をして、シーズンに臨んでほしいものである。来シーズンからフ リットがフェイエの指揮をとるとのこと。フリットになれば小野が求められるものもまた違ってくるだろうから、一皮むける可能 性もあると思う。小野について一つ気になるのはオリンピック出場を表明している点である。オリンピックは8月中旬からで オランダリーグと重なってしまう。コンディション的にもそうだし、監督が変わるシーズンでもある。ここでしっかりした準備をして 1年を通して活躍してほしいと思うからである。ただし小野本人が強く希望しているということなので、どちらになるにせよ悔 いの残らないようにと願うばかりである。 モナコ 3 - 1 チェルシー (4/20 チャンピオンズリーグ準決勝) 波乱続きのチャンピオンズリーグもいよいよ準決勝。ホームのモナコは無失点での勝利が欲しいところ。 モナコはほぼベストメンバー、対するチェルシーは今シーズン試合を初めて見るのでよく分からないがまずまずのメンバー のように思った。立ち上がりは5分5分、チェルシーは思ったよりもパスをつなぐサッカーをしていた。試合がどちらにころぶか 分からないと思っていたところで、モナコがプルソのヘッドで先制。これはバウンドしたクロスにうまく合わせた点だった。ところ が数分後クレスポのゴールでチェルシーが追いついた。モナコにとってはちょっとした不運が重なってのゴールだった。その後 もほぼ互角の内容で前半終了。チェルシーは怖さはそれほどないけど、バランスの取れたサッカーをしていると感じた。ア ウェーで点も取ったので、このまま引き分けで終わっても良しとする内容だと思った。ところが後半に勝負を分けるプレーが 出た。マケレレの挑発に乗ったジコスがマケレレの頭をはたいて一発レッド。これでホームのモナコは最低引き分けを狙う 試合運びになり、チェルシーにとっては願ってもない展開になったと思われた。しかしラニエリ監督は何を思ったか、3トップ にして勝ちを狙ってきた。3トップにしたことで、今まで良かったバランスが崩れてしまい攻撃は形にならないし、守りはジュリ ーのカウンターにより何回か危ないシーンが見られるようになってしまった。そしてジュリーの浮かしパスを受けたモリエンテス が右足で豪快なシュート。右45度からGKの右上を狙ったものでストライカーらしいゴールだった。殿もよくそのコースを狙っ ては見るもののそこにいったことは一回もなし。このゴールの前のプレーではいつもと逆でジュリーがポストに入ってボールを 受けた。それによりDFのポジショニングが中途半端になり、モリエンテスのゴールが生まれたように思った。続いて交替で入 ったノンダがロタンの低いクロスにつま先で合わせ3点目。GKがちょっとミスったようにも見えたが、DFと競りながらぎりぎりでつ ま先で合わせたノンダのプレーも良かったし、彼のファーストタッチでゴールというデシャンの采配も光るゴールだった。思いも よらぬ展開で3-1でモナコが勝利。10人になっても慌てることなく、しっかり守ってカウンターというサッカーをしたモナコのチ ーム力の勝利だと思った。チェルシーは確かに今回アウェーで負けていないということはあったが、それにしても3トップで勝 ちにいったのは理解できない。いくら前の人数を増やしても、練習もしたことがないんじゃ形になるわけがない。せめてハッ セルバインクとはタイプの違うダフとかムトゥを入れられれば違ったかもしれないが・・・ 今回のチェルシーといい前回のレアルといい、ただ金を出せば勝てるチームが出来るわけではないことをよく分からせてく れる試合だった。チェルシーは次の試合、デサイーとマケレレが出られなくなった模様。いろいろ考慮してもモナコの決勝 進出はまず間違いないと言っていいのではないかと思う。 Mars Reportへ Mai Reportへ ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|